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西村弥子
西村弥子
ソムリエール&ライフスタイルコンシェルジュ
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Lesson10世界でもオンリーワン!高貴なワイン「シェリー」をもっと知ろう ~後編~

最終回となる今回は、日本で最も消費されているシェリー「マンサニージャ」について。美味しさの秘密、相性の良い料理、現地での飲み方などを詳しく語ります。今年の夏のパーティーメニューには、ぜひマンサニージャを!新鮮なシーフード料理とともに、アンダルシア気分を味わってみてくださいね。

日本人好みの「マンサニージャ」は潮の風味で魚介類との相性抜群!

 さて、前テーマのカルメンが愛した「マンサニージャ」についてです。まず、マンサニージャには、スペイン語で3つの意味があります。ひとつは、「カモミールティ」。スペインのバルで「マンサニージャ、ポルファボール」と言うと、通常はカモミールティが出てきます。(間違いを防ぐには「テ・マンサニージャ」と言いましょう)2つ目はグリーンオリーブの品種名、そして3つ目がこの「シェリー」の呼び名。産地は、ヘレスから約20㎞離れた、サンルーカル・デ・バラメダという漁港の町。グアダルギビール川河口にある大西洋に面した場所、ここで熟成されたものだけがマンサニージャと呼ばれます。その香りは、まさにカモミールや緑オリーブ、そして、若いリンゴのようなフレッシュ感があり、軽快で爽やか。これがまさしくマンサニージャと呼ばれる所以です。

 そして、マンサニージャのように白く透明な辛口シェリー(サンルーカル以外のものは「フィノ」と呼ばれるタイプ)を造るのに欠かせないのが、「フロール」(スペイン語で花)と呼ばれる酵母の膜です。発酵が終わった白ワインを置いておくと、この地特有の酵母の一種が働き、ワインの表面には白い花のように膜が張ります。これを酒精強化し、フロールの下で3年以上熟成されたワインが、マンサニージャ(又はフィノ)となるのです。ここが、他のワインとは決定的に異なる点です。

シェリーの代表銘柄のひとつ「ラ・ヒターナ」。とても軽快でキリッとした味わいは、暑い夏の日にピッタリ。値段もリーズナブル(参考価格1,900円 輸入元 ユニオンリカーズ)で、おすすめです。
アンダルシアの港町サンルーカルは、白海老の名産地。「ガンバス・コシード(茹でエビ)」に、マンサニージャを合わせると、エビの旨味がより一層引き立ちます。
レモンをギュッと絞って口に放り込む「チピロネス・フリートス(小イカのフライ)」はカラリと揚がってクリスピー。潮の風味のマンサニージャが何杯でも進みます。

 初夏、サンルーカルに行ったことがあります。日中は、日差しがとても強く、サングラスが手放せませんし、あまりの暑さに外に出たくない程です。でも、日陰に入ると涼しく、海の近くでは適度な湿気をも感じます。この、大西洋から吹く潮風を含んだ空気中の酵母が、マンサニージャに独特の風味を与えます。また、この風で熟成庫の湿度と温度が安定し、フロールにしっかりと覆われたワインはよりマイルドになるのだそう。この地の「マンサニージャ祭り」では、海辺のお店で大西洋の風に吹かれて、海老の塩茹でや魚介のフリートを頬張りながら、マンサニージャを延々と飲み続けたものです。

 何はともあれ、この夏は、キンキンに冷やしたマンサニージャと、魚介類をぜひ合わせてみてください。もちろん、このフリートが起源の「天ぷら」とも合いますし、ワインとの相性が難しいウニ、イクラやからすみなどの魚卵系、貝類や海苔などとも、生臭みも和らぎピタリと寄り添います。もちろん、ハモン(生ハム)とは格別の相性です。

 また、ちょっとアルコールを強く感じるという方は、スプライトや7upなどで炭酸割りにしてみてください。現地でも「レブヒート」と呼ばれて親しまれているお祭りの飲み方で、暑い夏にはグイグイと進みます。

 最後に、日本で最も手に入れやすいものをひとつご紹介します。「ラ・ヒターナ」(ジプシー女性の意)、エチケットにはその女性像が描かれています。1792年に設立されたイダルゴ社という老舗ボデガで造られており、そのヒターナは当時のオーナーの愛人だったとか・・・。新鮮なリンゴのような香り、スッキリとした軽やかな味わいは、シェリーを飲み慣れていない方にも、とても飲みやすい辛口です。ただし、飲み口が良いので、くれぐれも飲み過ぎないように注意して下さいね。カルメンとドン・ホセの激しく情熱的な悲恋が、あなたにも蘇ってくるかもしれませんから・・・。

 全10回に渡る本連載、楽しんで頂けたでしょうか。スペイン語の諺で“El mundo es un pañuelo”「世界は一枚のハンカチ」という言葉があります。「世間は狭い!」というニュアンスですが、スペイン経済が未曾有のピンチで日本も震災復興の真っ只中、この豊かな食文化は一枚の小さなハンカチの上にあります。人々の心に潤いを与える「食とワイン」の素晴らしさを伝え、人と人が繋がる一助となれたら嬉しく思います。さあ、今宵もグラス片手に“Salud!”(健康に乾杯!)

〈参考文献〉
『シェリー、ポート、マデイラの本』(小学館 明比淑子 著)
『シェリー酒 知られざるスペインワイン』(PHPエル新書 中瀬航也 著)

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