1. 美容情報トップ
  2. アラフォー総研
  3. コラム
  4. 麻生圭子
  5. 猫に金魚の浴衣を着せてみました。

猫に金魚の浴衣を着せてみました。

2014年08月19日麻生圭子

大文字の送り火が終わると、朝晩の風には秋が感じらるようになってきます。そうなると勝手なもので、あれほど秋を待ち望んでいたのに、夏が名残惜しくなってくる。秋のはじまりはいつも少しせつない……。

残暑、お見舞い、申し上げます。
さて、今年は、京都で過ごす最後の夏。何とワタクシ、猫に浴衣を誂えてしまいました。
「うちの子にも浴衣、着せたいなあ」とブログでつぶやいたなら、和裁のできる読者の方が、手を挙げてくださったのです。今回はそんな夏の思い出噺。

それは生地選びからはじまった。

犬用の服を着せてみました。祇園祭の宵山までに間に合うかな。

と、その前にエクスキューズを。
いくら浴衣を着せてたいと言っても、相手は猫です。極端に嫌がるようなら、たとえ短時間でも着せるのはかわいそうです。まずは犬用の洋服を着せて、様子を見てみました。そしたら、まや(シンガプーラの女子)は全然、嫌がらなかったのです。これなら大丈夫、ということで、生地選びからはじました。

オーダーメイドの楽しいところは、生地から選べるところです。京都なら白生地から染めてもらうことも可能ですが、さすがにそこまでの時間と根性はなく。最近、京都で流行の手ぬぐい屋さんで、猫の浴衣地は調達しました。かわいい娘の浴衣ならと、夫も同行(笑ってください)。
ア「この色、似合うよね。でも季節感が今ひとつかな」夫「白地がええんちゃう?」ア「シンプルなのがいいかな」夫「それか、これは? かわいいよ、これ。うん、笑える」
さて、どんな柄を選んだのか。

縫いを担当してくれる読者さんは、年輩の方ではありません、アラフォー女子。なのに和裁ができる。お茶(茶道)をするから、キモノが日常にあるらしい(そこまでは私も同じなのになあ……)。今年はご主人とお母上の浴衣を二枚、もう仕上げたのだとか。ただ、猫の浴衣は縫ったことがない、あたりまえです。なので、裁断が不安だからと、仮縫いをしてくださることに。言われるままに、まやの採寸(背丈、銅回り、腕回り、首回り)をし、試着した犬用の服を、参考までにと郵送しました。

仮縫いの浴衣はなぜかつるつるてん

仮縫いの浴衣。襖を開けようとしているところです。

数日後、犬服を参考に浴衣をアレンジした、かわいい蛍柄の仮縫いが届きました。背丈は、上の画像の右肩と同じにしてくださったのだそうですが、着せたら、こんなふうになっちゃった。かわいいけど、つんつるてんです。もちろん腕を上げてるせいもあるんですが、でも、その袖が身八口(みやつくち)を含め、ジャストサイズ過ぎて、動くと、布がつれてしまい、フィットしなくなっていることがわかりました。

ちなみに、身八口というのは、キモノの袖付けの縫ってない部分のことです。これがあるから、女性の胸の部分を直線断ちの布で沿わせることができる。犬服はまだ伸縮性のある生地だったので、何とかなっていたのですが、手ぬぐいの木綿にはその遊びがありません。けれど、仮縫いで、この身八口がそれを補ってくれそうなことがわかったのです。
 

祇園祭に後祭が復活した日に

猫の背中で金魚が泳いでいます。

宵山までに間に合えばいいね、と話していたのですが、仮縫いのあとに、もう一度、直しが入ったために、残念ながら、17日の前祭には間に合いませんでした。

でも今年から祇園祭は48年ぶりに、後祭が復活。祇園祭の本来の主役は、三基の神輿。山鉾巡行は、この八坂神社の神さまたちを、洛中にお迎えするための、本来は露払い、前座のような役目なのです。神輿をお迎えするときの前祭、お見送りするときの後祭。山鉾巡行(宵山も)は、二回、あるものだったのです。交通事情から一回に省略されてしまっていたものが、今年(2014年)、約半世紀ぶりに復活。
渡英が半年延びたおかげで、この正しい祭の姿を見ることができました。

まやちゃんはその、記念すべき後祭復活の日に、金魚の浴衣に袖を通しました。それが右の画像です。帯はシフォンのリボン。結び目には模造真珠をあしらってみました。

風に金魚は泳ぎ、猫は眠る

袖の身八口と止め。本格的です。

世界でたった一枚、お誂えの浴衣。やわらかいほうが着心地がいいかなと、袖を通す前に、湯通して、糊を取ってみました。画像はそれを、簾越しの風で、乾かしているところです。金魚も気持ちよさそうに泳いでます……。

さて。飼い主の浴衣遊びに、たまには飼い主孝行してくれても、バチ、当たらないよね、とばかりに、まやには、いっぱいつき合わせてしまいました。でも本猫もまんざらでもなかったんじゃないかな。だって、まやちゃん、このまま寝ちゃったんですよ。飼い主的には、それはかわいいかわいい寝姿だったのでした。

麻生圭子

Aso Keiko

このライターのコラムをもっと見る >>

1957年大分県日田市生まれ東京育ち。83年、作詞家としてデビュー。吉川晃司、徳永英明、小泉今日子などのヒット曲がある。進行性の難聴のため、91年に作詞家を休業、エッセイストに。96年から京都在。99年より、夫と猫と町家暮らし。代表作に「東京育ちの京都案内」「京都で町家に出会った。」(文春文庫)、「京都がくれた小さな生活。」(集英社be文庫)など。最新刊は「京都早起き案内」(PHP新書)。近々、ロンドンに移住予定。

関連リンク: 麻生圭子の京都のしずく


ピックアップ
読者エディター
美の賢人ブログはこちら
ピックアップ