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またたびでリフレッシュする猫

2014年07月28日麻生圭子

「猫にまたたび」という言葉があります。そんな慣用句(ことわざ)になるほど、猫はまたたびが大好物。猫好きな方なら、ご存知ですよね。でも、このまたたびが何なのかは、知らない方が多いのでは? かくいう私も、京都で山歩きをするまでは、詳しくは知りませんでした。
今日は、そのまたたびと猫にまつわるお話です。

またたび(木天蓼)の正体は、落葉蔓性木本です。

白くなりつつある葉と、葉裏についた小さな花。

上の画像、白い葉っぱがまるで花のよう。清楚できれいでしょ。これがまたたび(漢字では木天蓼)。そう、またたびって木なんです。落葉蔓性木本。藤と同じですね。

で、このまたたびは、花をつける6、7月頃になると、一部の葉が白くなる。花期を昆虫(花粉を運んでくれる)に知らせるためのサイン、アピールと考えられています。というのも、またたびの花は藤の花と違って、葉裏に隠れるようにして咲くので、外からは全然わからないのです。

ところで私は根っからのインドア派(猫好きはインドア、犬好きの人はアウトドア系の人が多いですよね)なんですが、夫の影響で、いつしか山の花(山野草)に興味を持つように。これが高じて山にも入るようにもなりました。夫から「これが猫にまたたびのまたたびだよ」と教えられたときの驚き。なんて清楚で上品なんでしょう。猫のフェロモンに関係するということで、もっとグロテスクなものを想像していたのです。

余談ですが、「疲れた旅人がまたたびの実を食べたら、また旅ができるようになった」ことから、またたびという名がついた、という俗説もあります。ただ古く(平安時代)は、わたたびと呼ばれていたらしいので、又旅は、出来過ぎのこじつけかな。

またたびの匂いはフェロモンに似ている

またたびの小枝で遊ぶ猫

このまたたびにの匂い(マタタビラクトン、アクチニジンという揮発性の臭気)には、イエネコだけでなく、ライオンなどのネコ科の動物も、特別な反応を示すことがわかっています。フェロモンを感知する器官(ヤコブセン器官)を刺激するからだと考えられてるようです。

猫によって、反応はいろいろ。ハイになって攻撃的になったり、お酒に酔っぱらったようになったり、恍惚状態になったり。昔、飼っていた猫は、粉末を与えると、カラダをすりすり、枝の場合はケリケリ、それがすむと、うっとり。ときに、フレーメン現象(口を半開きにして、恍惚のような表情になる)を見せたりもしていましたが、今、うちにいる2猫はそこまでの強い反応は示しません。

仔猫や去勢や避妊手術をしている猫の中には、ほとんど反応を示さないものもいるそうです。
また、その効き目も、粉末がいちばんで、実、枝、葉の順で、効き目は薄くなるらしい。

確かに、うちの子たちも、生のまたたびより、ペットショップで売られている粉のほうが、数倍、効き目があります。でも色気より食い気というか、なめてなめて、味わいながら、またなめて。ま、若干、ハイ(興奮)になっている様子は見受けられますが、あくまで静かに上品に。ハメを外すことはありません。

生のまたたびへの反応は、うちの猫たちに限っては、葉、実、枝の順。葉は食べ、実はなめ、枝は頬をこすりつけます。でもね、粉と違って、持続しないというか、すぐに飽きちゃうんですよね。がっかりです。


ちなみに、猫も鼻ではなくヤコブセン器官で、その匂いをキャッチしているので、どんなに嗅覚が優れている人でも、ヒトの場合は、またたびの匂いで酔うことはできません。

またたびでリラックスする猫

またたびのざるでリラックス中

せっかく採ってきたんだし、またたびの枝葉、乾燥させて粉にしたなら効き目が強くなるんじゃない? とざるに広げ、縁側で天日干しにしてみることにしました。ところがこれが予想の斜め上をいく展開に。乾燥が進んできたなら、2猫が入れ替わり立ち替わりで、これを昼寝用のベッドに使い始めたのです。

枝も入っているので、ふわふわというより、かさかさ、ちくちくのはずなのに、そんなことはおかまいなし。
さすがに直射日光は暑かろうと、室内に動かしましたが、真ん中の写真なんか「この葉っぱはまや(猫の名前です)のでちよ」とロッタ(ロシアンブルー)に取られないようにしているふうに、飼い主には見えます。

またたび販売サイトには、興奮させるだけではなく、リラックスさせる効能を謳っているものもありますので、うちの2猫の場合は、後者の効き目があったのかもしれません。ま、何でも「過ぎたるは及ばざるが如し」。脳に作用しているならば、尚のこと。わが家の場合は、年の一度のまたたび祭です。

ヒト用の、またたびも販売されています。

右下の猫(茶トラ)は、うちの子に気があるノラ猫です。こうやって外から覗いてるんです。

このまたたびの実、マタタビアブラムシに寄生され、変形した実は、木天蓼(もくてんりょう)という生薬として、用いられています。冷え性、神経痛、腰痛、リューマチなどに効果があるんだそうですよ。
またこの実で、またたび酒を漬けたり、粉末にしてお茶にしたりして、滋養強壮に飲むこともできるらしい。

なるほど。猫が好きなものは私も味わってみたい、とさっそくお取り寄せをしてみました。
お茶は水色(すいしょく)も涼やかで、私は嫌いではないけれど、実のほうはうーん……。しかめっ面になるような味ではないけど、美味では断じてない、強いていうなら、干し草みたいな味でした。ヤコブセン器官がないのが本当に残念。
もちろん猫たちはさかんになめていました。何かがあるんでしょうね。

麻生圭子

Aso Keiko

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1957年大分県日田市生まれ東京育ち。83年、作詞家としてデビュー。吉川晃司、徳永英明、小泉今日子などのヒット曲がある。進行性の難聴のため、91年に作詞家を休業、エッセイストに。96年から京都在。99年より、夫と猫と町家暮らし。代表作に「東京育ちの京都案内」「京都で町家に出会った。」(文春文庫)、「京都がくれた小さな生活。」(集英社be文庫)など。最新刊は「京都早起き案内」(PHP新書)。近々、ロンドンに移住予定。

関連リンク: 麻生圭子の京都のしずく


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