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日本の「モノづくり」の息づかいが感じられる工場見学ツアー!

2014年10月15日山本ミッシェール

ここ数年、大人をターゲットにした工場見学や社会科見学が注目を浴び続けています。そんななか、この秋とっても勢いが感じられた富山県の工場見学ツアー「高岡クラフツーリズモ」に参加してきました!

~若手職人自身が伝えるものづくりの現場~

高岡伝統産業青年会のメンバー全員の似顔絵

高岡伝統産業青年会主催の「高岡クラフツーリズモ」とは「ものづくり」を意味する「クラフト」と「旅行」を意味する「ツーリズム」をかけ合わせた造語で、普段は見ることのできない工房をこの日だけ特別に一般公開しています。
2012年からスタートしたこのツアー、 職人自らが一日案内役を務め、一般の人たちにものづくりのプロセスや工場の様子を感じてもらう機会を提供しています。その中で本来のモノの価値や魅力に気づいてもらい、産業の活性化につなげるという狙いがあります。

私もつい先日、10月4日に行われたツアーに参加してきました!職人たちの手業を直接この目で見ることができ、また、40歳までの若手職人たちが、自分たちの言葉で工場の様子を伝えてくれたことで、より身近に伝統産業を感じることができました。今回はその内容をレポートしたいと思います。

~400年の歴史~

現在の金屋町、400年前に7人の鋳物師(いもじ)がここで鋳物作りをはじめました

富山県高岡市の工芸の歴史は古く、今からおよそ400年前慶長14年(1609年)に加賀藩二代藩主前田利長公が高岡の町を開きました。そして以来、金属工芸(金属鋳物、彫金、鍛金)や漆芸(螺鈿細工、彫刻彫り)が盛んな産業都市として栄え、今もなお歴史は受け継がれています。

~輝く青貝塗の世界~

極薄に削った貝の裏には着色が施され色により多くのバリエーションを持たせる

私が参加したのは3種類準備されているツアーの中で、高岡市の代表的な産業を見学する「銅器、漆器の技を広く体感!」コースです。
まずは漆器と螺鈿細工の工房「武蔵川工房」で高岡漆器の「青貝塗(あおがいぬり)」を見せてもらいました。光をうけて輝く青貝塗はまるで吸い込まれるような美しさ!!
通常、螺鈿(らでん)とは、「鮑(あわび)」「夜光貝」「蝶貝」などの貝の真珠色に光る部分を0.3ミリ厚に削り漆器などの上にはめ込み装飾する技法の一つです。しかし高岡市で盛んな「青貝塗」は螺鈿の技法の一種ではありますが、貝を0.1ミリまで究極に薄く削ったもので細工をします。この薄い貝を貼り付けたときに下地の黒い漆が透けて貝が青く見えることから「青貝塗」と呼ぶようになったそうです。現在、貝を0.1ミリの薄さに削ることが出来る職人は全国でも3~4人しか残っておらず、高齢化が大きな問題になっているそうです。

~国産漆が消える?!~

丁寧な仕事の漆塗りには深みがあり鏡面のような仕上がり

仏壇塗師で高岡市の重要有形文化財修理もする京田充弘さんのところでは漆塗りの現実を聞かされました。それは、現在は国産の漆はもうほとんど使われておらず、98%以上が中国産漆だという事実。これにはショックを受けました。ツアーの後にお話をする機会があった漆問屋さんの話だと、漆の木は日本にもいまだにたくさんあるけれど、需要が減ってしまったことから採取できる漆掻き職人がほとんどいなくなってしまったことにあるといいます。

見学コーナーで鮮やかにデモンストレーションをしてくださった京田さん。笑いながら「いまここで塗っているものは商品にはなりませんよ~!だって皆さんがいるからたくさん埃が空中に舞って漆についていますから!」素人の目にはほとんど分からないくらいの埃ひとつでも商品の価値を落としてしまうほど繊細仕事現場でした。
漆塗りがしっかりほどこされていれば、簡単に100年以上長持ちするという漆。大切にしたいと感じました。

~伝統産業の衰退~

経済産業省の調べによると伝統的工芸品産業が直面している課題は、「生活用品に対する国民意識の変化」や「大量生産方式による安価な生活用品の普及」、「海外からの輸入品の増加」などだといわれています。そして産地の職人の数も、昭和50年代前半と比べて30年の間に約3分の1にまで減少してしまいました。さらに職人たちの高齢化が進み、全国的に後継者が不足するという大きな問題になっています。
日本の銅器生産額の約95%のシェアを持つ高岡の伝統産業も、同じ問題を抱えていました。このことから、高岡伝統産業青年会は若い世代の視点を活かして様々なイベントを開催するようになりました。

見て、聞いて、触れて・・・身近に感じる伝統産業

左から和田彫金、小島製作所、川津工芸

このようにして生まれた「高岡クラフツーリズモ」、私が参加したコースは次のようなスケジュールでした。
①漆器と螺鈿細工の「武蔵川工房」→②仏壇塗師の京田充弘さん(高岡地域地場産業センター)→③お昼→④彫金、象嵌(ぞうがん)の「和田彫金」→⑤鋳物での香炉製造「小島製作所」→⑥金属塗装の「川津工芸」→⑦金属工芸品の卸、小売販売「大寺幸八郎商店」

所要時間は6時間ほど。それぞれの現場で、現在の取り組みやワクワクするような新しい計画などを聞くことができました。実際に見て、聞いて、触れて、感じることでぐっと伝統産業が身近になったような気がします。


~いま自分たちにできることをやりたい~

高岡伝統産業青年会の会長、大寺康太さん

現在の高岡伝統産業青年会の会長、大寺康太さん(1860年創業「大寺幸八郎商店」経営)にこのイベントについて伺いました。「楽しみながら全国の方々に知ってもらい、もっと伝統産業を身近に感じてもらいたいんです。そして高齢化が進む職人たちと若い人たちがつながっていく機会を増やしたいと思います。技術を引き継ぐ人がいなくなってしまったらもうできなくなってしまうんです。技術のあり方はもしかして今後変わっていくかもしれないけれど、若手の自分たちが遠い未来はもちろん、少し先の近い未来を見ながら今できることをやっていきたいたいと思います。」

~本物を知って、伝統を引き継ぐ~

一緒のコースを回った参加者のみなさんと記念撮影!

職人さんたちと過ごし見学したツアーを振り返ると、いま身の回りにある便利な物、安い物ももちろん良いのですが日本の風土気質にあった伝統的なモノを手元に置き大切に毎日使うことの重要さを強く感じました。本物を知ることで私たち自身も伝統を引き継いでいく・・・私もこれをきっかけに職人さんの顔が見える品々をひとつずつまわりに増やしていきたいと思いました。



皆さんもこのような伝統産業工場のツアーに参加してみませんか?
いま現場は熱いです!!

高岡伝統産業青年会が各地で行う体験イベントや出展情報、来年度のツアーの案内などはこちらからどうぞ。

高岡クラフツーリズモ
http://craft-tourism.jp/

高岡伝統産業青年会
http://www.takaoka-densan.com/
Facebook
https://www.facebook.com/takaokadensan

山本ミッシェール

yamamoto michelle

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元NHK記者。現在NHK国際放送局のアナウンサーとして活躍。「Science View」では全国を駆け巡り、日本の技術力を支える「匠」を世界にリポート。アメリカで生まれ、幼い頃からイギリス、フランス、ドイツなどで海外生活を経験。国際的な感覚をもちながらも、日本の伝統的な「和の美しさ」に対する関心は高い。記者時代に過ごした京都をはじめ、日本の伝統美の取材を独自で続けている。その他、コミュニケーション指導として、桜美林大学講師、各企業での講演会等でも活躍中。
著書「見るだけ30分!!あなたに合った「聞く」「話す」が自然にできる!」(すばる舎)

関連リンク: ミッシェールのスマイル・カフェ(ブログ)


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