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「雪下野菜」はなぜ「おいしい」の?

2014年01月28日篠原久仁子

年明けになると、ちらほらと見かける「雪下」や「雪中」を冠した名前の野菜たち。見たことはあるけれど何が違うのかわからない、なぜ人気なの?と気になっている方が多いようです。
今回は、雪の多い地域ならではの農業に秘められた「おいしい」お話をご紹介します。(写真提供 黄金崎農場)

「雪下野菜」って?

「雪中野菜」「越冬野菜」など呼び方は様々ですが、雪の下で越冬させた野菜たちのこと。本来、秋に収穫する野菜をそのまま雪の中に寝かせておいたり、一度収穫したものを雪室で貯蔵するものもあります。いずれも、北海道や東北など寒さが厳しく、積雪がある地域でしかできない、自然環境を活用した野菜づくりと言えます。ニンジン、ダイコン、キャベツが代表的な品目です。

そもそもは雪国の保存技術

我が家は、雪があまり積もらない地域なので、藁などで保温して保存。

この「雪下野菜」、ここ数年になっての取り組みのように聞こえますが、実は、古くからの生活の知恵を活かしたもの。そもそも雪深い地域では、冬場の野菜づくりがままならないため、秋のうちに収穫した野菜を土の中に埋めて保存することで野菜不足を補ってきました。雪の下は温度が一定で凍らず、適度な水分もあるため、野菜本来のみずみずしさも保てるということを、体験を通して知っていたのですね。私がデュアルライフを送っている信州の蓼科でも、秋に収穫した大根を土の中に埋めなおして保存し、春先まで大切にいただいています。

なぜ甘くなるの?

「雪下野菜」に共通するのが、凝縮された「甘さ」。生きている野菜たちは、寒さで凍りついてしまわないように、凍りやすい水分などを糖分に変化させ、寒さをしのぎます。その結果、甘みをより感じるようになるのです。「雪下野菜」の美味しさは、野菜たちが寒さに耐えて生き延びようと、がんばってくれた証だったんですね。

「雪ん子人参」の収穫現場から

「雪ん子人参」は催事販売などで購入できる。     スケジュールは黄金崎農場HPで確認を。          http://www.koganezaki-farm.jp/

以前、黄金崎農場(青森県)の「雪ん子人参」収穫現場に伺ったことがありました。白神山地が背景に広がる見渡す限りの銀世界はまさに絶景!ですが、吹き荒ぶ日本海からの北風の強さが身体にささるようでした。まずユンボで雪をかき、トラクターで土を掘り起こしてから、ひとつひとつ手で掘り出していきます。収穫体験もさせていていただいたのですが、雪の下の土とニンジンは氷のようで、厚手の手袋をしていても手がキンキンに冷え、数分でギブアップでした。過酷な環境下で大変な手間をかけられた野菜であることを、身をもって学ばせていただいて以来、敬意の念を抱きながら「雪下野菜」をいただくようにしています。「雪ん子人参」は、これからますます「しばれる」(地元の方言で「厳しく冷え込む」)2月が最盛期。フルーツのような香りと甘さがピークに達するのだそうですよ。

冬の雇用にもつながる取り組み

厳しい生産現場ではありますが、心温まるエピソードもありました。「雪下野菜」の美味しさが注目され、冬にも農業ができるようになったことで、出稼ぎに出る必要がなくなり、家族が一緒に過ごせるようになったのだそうです。背景には、いくつもの家族の物語があるのですね。
味わいの良さで人気の「雪下野菜」。その野菜の背景にどんなストーリーがあるのか、知ることで味わえる「おいしさ」もあります。先人の知恵、生産現場にある大変さや喜びなども感じながらいただいてみてはいかがでしょうか?

篠原久仁子

Shinohara Kuniko

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野菜ジャーナリスト。大学卒業後、大手番組制作会社で、報道・ドキュメンタリー番組の企画・演出を手がける。野菜ソムリエ資格取得後の2009年、人と地域を野菜果物にまつわる情報でつなぐ日本初の「野菜ジャーナリスト」として独立。執筆、講演で情報発信を行うなど、様々な形で食企画に従事。「野菜の便利帳~伝統野菜・全国名物マップ」執筆。東京を軸に全国を取材しながら、野菜に魅せられるきっかけとなった信州の古民家で執筆や畑しごとをするデュアルライフを送っている。



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